研究テーマ

事業のイメージ

  • 光ファイバーを利用した地層安定性や健全性監視システム
  • 圧入安全管理システム
  • 長期モニタリング技術(超伝導重力計によるCO2挙動監視
  • マイクロバブルCO2 溶解促進技術の適用による貯留効率向上
  • CO2漏出監視システム

CO2地中貯留技術事例集を公開しました。

 

1. 大規模CO2圧入・貯留の安全管理技術の開発

  • (1) 圧入安全管理システムの開発

    自然地震や圧入に伴う微小地震の観測結果、CO2挙動モニタリング、CO2圧入データを基に、交通信号のようにCO2圧入が安全に施行できる安全管理システム(ATLS)の開発を行う。

  • (2)CO2長期モニタリング技術の開発

    弾性波探査を補完する長期連続モニタリングシステムとして、高精度重力モニタリング技術を開発し、CO2挙動評価技術への適用性を検証する。

  • (3) 大規模貯留層を対象とした地質モデルの確立

    大規模貯留層の貯留可能量評価のため、評価技術の開発及び地質モデル構築手法を確立し、苫小牧実証サイトや適地調査サイトに適用する。

  • (4) 大規模貯留層に適したCO2挙動シミュレーション、長期挙動予測手法の確立

    大規模貯留層内のCO2の長期的な挙動を予測するため、我が国の貯留層の地化学反応特性を考慮したCO2長期挙動予測手法、およびキャップロックの長期的な遮蔽性能評価手法を確立し、苫小牧実証サイトや適地調査サイトに適用する。

  • (5) 光ファイバーを利用した地層安定性や廃坑井の健全性監視システムの開発

    地中埋設型光ファイバーを用いて、CO2圧入による地層の変形を連続的に測定し、貯留層を覆うキャップロック(遮蔽層)の力学的安定性の監視技術や、光ファイバーの測定データに基づいた地層安全性評価のためのジオメカニック・モデリング手法を開発する。また、光ファイバー測定による廃坑井からの地層水やCO2の漏えい検知の有効性を検証する。さらに、光ファイバーを利用したDAS/VSPDistributed Acoustic Sensing – Vertical Seismic Profiling)探査技術の確立を目指す。

  • (6)CO2漏出検出・環境影響評価総合システムの構築

    万一の廃坑井や遮蔽層等から海底へのCO2漏出に対し、有効な漏出検出手法や漏出CO2の海中拡散シミュレーション技術を開発するほか、生物影響データベースの活用によって、環境影響評価を行うための総合システムを開発する。

  • (7)海外機関との協力によるCCUS技術開発の連携

    海外のCCS研究機関との連携を図り、海外のCCSサイトにおいて、断層安定性監視技術を構築するための現場試験などを実施し、技術開発を行う。豪州サイトでは断層安定性評価手法の確立のため、断層安定性・健全性評価試験の実施や、ジオメカニクスモデルによる検討を行う。

  • (8)坑井健全性調査・坑井封鎖実用化試験

    坑井封鎖実用化試験を実施し、長期経過のCCS坑井の健全性評価と坑井封鎖実用化技術を構築するため、現場試験を行う。

2. 大規模貯留層の有効圧入・利用技術の開発

  • (1)CO2圧入井や圧力緩和井の最適配置技術の確立

    実用化規模(100万t/年程度)の大規模貯留サイトでは、複数の圧入井、あるいは圧力緩和井を利用するケースもあることから、複数坑井の配置や機能を最適化できる手法を、苫小牧や適地サイト等のデータを活用しつつ確立する。

  • (2)マイクロバブルCO2圧入技術の適用による貯留効率の向上

    塩濃度の低い地層水への溶解促進や、貯留層の圧力増加の抑制につながる溶解促進技術を確立するとともに、微細なCO2気泡を貯留層に圧入し、CO2貯留効率向上を図る。室内実験から現場適用手法の検討まで行い、溶解促進技術の適用効果を評価する。

  • (3)貯留性および経済性向上手法の開発(SRM手法の開発)(2021年度新規)

    CO2地中貯留のための深部塩水層を有効利用するため、貯留性および経済性向上手法 (SRM;Storage Resource Management手法)の開発を行う。具体的には、貯留サイトの選定にあたり、CO2排出源との距離などの経済的な要素を考慮するとともに、地質モデル構築に採用する探査や掘削による情報入手方法によって、地下構造・物性の不確実性低減にどの程度寄与するかといった、入手情報の価値や費用対効果に相当する量を評価する手法の検討を行う。
    また、深部塩水層を最大限有効活用するマネジメント手法の開発を進め、我が国の想定大規模貯留サイトに適用し、手法の問題点の抽出や実適用による検証を行う。さらに、貯留サイトと排出源との位置関係や、CO2輸送手段によるコスト評価を加え、CCS全体システムの経済性向上手法も開発する。
    SRM手法の開発

3. CCSの普及条件の整備、基準の整備

  • (1)CO2貯留安全性管理プロトコルの整備

    CCSの社会的受容性確保にも寄与するIRPの海外サイトの事例を調査し、その機能検討を行った上で日本版IRPを構築する。

  • (2)苫小牧実証試験サイトや海外プロジェクトの成果や情報を用いたCCS技術事例集の作成、国際標準化(ISO TC265)との連携

    国内外の大規模CO2地中貯留プロジェクトの技術事例や知見を集約し、CO2地中貯留事業の基本計画から閉鎖後の管理までをカバーする技術事例集を完成させ、事業者の参照に供する。

  • CO2地中貯留技術事例集を公開しました。
  • (3) CCSの広報活動を通じた社会受容性向上方策の検討

    CO2地中貯留事業の普及に欠かせない社会受容性の向上を図る。また、海外機関との連携により、CCS事業の国際標準化との整合に取り組み、我が国のCCS技術の向上や普及を促進する。

  • (4) 社会合意形成手法の開発(SLO手法の開発) (2021年度新規)

    地元住民や国民全体、投資家、政策担当者等、多様なステークホルダ―を対象とし、CCS社会実装に向けた合意形成を構築する条件を整備するための社会合意形成 (SLO;Social License to Operate)手法を開発する。具体的には、地元住民や国民とのコミュニケーション手法開発、CCS導入メリット分析、インセンティブデザイン支援ならびに法整備支援を行う。